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ピロリ菌検査・治療

ピロリ菌とは?

ピロリ菌は、胃を守る胃粘液層に生息する細菌で正式には、ヘリコバクター・ピロリ菌と言います。

日本人の50歳以上では70~80%がピロリ菌の保菌者で、すべての方ではありませんが、ピロリ菌が原因で胃炎や胃十二指腸潰瘍などを引き起こす場合があります。

ピロリ菌検査について

ピロリ抗体もしくは抗原測定法

血液検査によるピロリ菌抗体検査、検便検査による便中ピロリ菌抗原検査で、ピロリ 菌に対する抗体や抗原の有無を調べます。

ただし抗体検査は偽陰性や偽陽性といって、感染診断と検査結果が矛盾する事もあります。

そこで当院では、除菌治療が成功したか否かの『除菌効果判定用の検査』として便中ピロリ菌抗原検査を用いております。除菌薬を飲み終えてから4週間以上の間隔を空けて検査することにより正確な判定を行うことが可能です。

内視鏡を用いる検査法 (※内視鏡は予約検査となります。)

■ 迅速ウレアーゼ法
ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌し、尿素を分解します。内視鏡時に胃粘膜組織を採取して、ウレアーゼの反応を検査する検査です。20分程度で結果が判明し、高い特異性を有しています。

■ 鏡検法
胃粘膜の生検組織をHE(ヘマトキシリン-エオジン)染色あるいはギムザ染色により染色固定し、顕微鏡でピロリ菌の有無を観察する検査です。

■ 培養法
胃粘膜の生検組織から、ピロリ菌を培養し有無を確認する検査です。

ピロリ菌の除菌治療について

ピロリ菌が原因で慢性胃炎や胃十二指腸潰瘍などを発症している場合は、ピロリ菌を除菌する治療を行います。除菌治療は、慢性胃炎の進展を抑制し胃がんの発生リスクを減少させることが可能で、胃十二指腸潰瘍の再発防止にも有効です。

1種類の「胃酸の分泌を抑える薬」と2種類の「抗生物質」の合計3剤を同時に朝夕1日2回、7日間服用する治療法です。当院では飲み間違えを防止するために、1日分のお薬がセットになったパック製剤を7日分処方しております。

ピロリ菌の除菌療法は、保険が認められるようになりましたが、胃炎や胃十二指腸潰瘍など特定の上部消化管の病気を発症している場合のみで、それ以外の病気では、保険が適用されず自費診療になります。ただし、ピロリ菌感染が上部消化管の病気はもとより、慢性蕁麻疹や鉄欠乏性貧血にも関与している可能性があることも報告されており、自費診療で除菌治療をする患者様も増えております。

除菌薬内服中の注意点

  • 確実にピロリ菌を除菌するために、指示されたお薬は必ず服用するようにして下さい。
  • 自分の判断で服用を中止すると除菌に失敗して治療に耐性をもったピロリ菌があらわれることがあります。
  • 副作用があらわれたと思ったら、当院または調剤薬局に相談して下さい。
  • 喫煙・飲酒で除菌率が低下することが報告されていますので、除菌治療中の7日間は喫煙・飲酒はお控え下さい。

ピロリ菌の除菌治療は計5回の受診となります。

① 感染診断
ピロリ菌感染の有無を採血あるいは胃カメラで調べます。
② 結果説明・処方
感染診断の結果をご説明し、陽性の方には除菌薬を処方いたします。
③ 副作用確認
除菌薬による副作用の有無を問診ならびに採血で調べます。
④ 除菌効果判定
除菌薬によりピロリ菌が完全に死滅したかどうかを便中ピロリ菌抗原検査で調べます。
⑤ 結果説明
除菌効果判定の結果をご説明します。
除菌成功の場合は終了となり、不成功の場合は2次除菌についてご説明いたします。

除菌薬による副作用

① 軟便・下痢
② 味覚異常(口の中が苦い、味がぼやけた感じ)
③ 肝機能異常

①②は個人差がありますが、患者さまが自覚することがある症状です。1週間の内服が終了しますと改善いたします。③は特に自覚症状はありませんが10%くらいの患者さまで認められます。当院では1週間の内服が終了した時点で問診、採血検査で副作用の有無をチェックし、安心して除菌療法を受けていただいております。

1次除菌の成功率は約80%です。成功しなかった方に2次除菌を行うと成功率は約90%になります。保険診療では2次除菌まで認められております。