心臓から送り出された血液が、動脈の壁に与えている圧力を血圧といいます。
血圧は、心臓の送り出す血液量、動脈壁の弾力性、末梢血管の抵抗などの要素によって決まります。
日常の動作、時間、環境などの影響を受けて常に変動しますが、昼間はからだを動かしているので高く、夜は寝ているので低くなります。運動や食事、喫煙、飲酒、緊張や興奮、寒冷などでは高くなり、安静、温暖などでは低下します。
健康な人のからだでは、血圧は様々な要因に対して適切に保たれるように調節されています。
現在、日本で広く採用されている血圧の診断基準は、世界保健機関(WHO)、日本高血圧学会などの基準で、最高血圧が140mmHg以上であるか、または最低血圧が90mmHg以上であることが高血圧とされています。
ほとんどの場合は、発症の原因をはっきりと特定することができない本態性高血圧です。高血圧の約9割を占め、遺伝的素因と生活環境が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
残りの1割程度は、腎臓や内分泌、血管系の疾患、神経の病気など、高血圧の原因が明らかなもので、二次性高血圧とよばれています。
高血圧にもいろいろなタイプがあります。タイプにより薬の種類や服用時間などが違うので、自分の血圧のパターンを知っておくことが大切です。
家で毎日血圧を測り、記録して、医師に伝えることは診断や治療の参考になります。測定時間は、起床時と就寝時の2回、毎日ほぼ同じ時間に測るのが理想です。
- ● 白衣高血圧
病院や検診で測定すると高血圧で、家では正常血圧というタイプの高血圧です。環境や心理的な影響を受け一時的に血圧を高くしてしまうと考えられています。 - ● 早朝高血圧
家庭血圧や24時間血圧測定で、早朝に高血圧になるタイプです。 - ● 夜間高血圧
家庭血圧や24時間血圧測定で、夜間に高血圧になるタイプです。
高血圧は自覚症状がほとんどなく静かに進行します。血管に常に通常以上の圧力がかかるため、血管壁が厚くなり弾力性が失われ、内壁にコレステロールが沈着して動脈硬化が進みます。動脈硬化は高血圧を加速し、その結果さらに動脈硬化が進むという悪循環となります。
合併症は症状が出てから治療しても何らかの障害が残る場合が多いので、日頃から血圧の管理を行い合併症を予防することが大切です。
- 心血管障害:心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞 など
- 脳血管障害:脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血 など
- 肝機能障害:腎硬化症、腎不全 など
- 血管障害:大動脈瘤 など
治療には薬物療法と非薬物療法がありますが、生活習慣の改善が重要です。
- ● 薬物療法
医師や栄養士の指導の下に生活改善を行っても血圧が下がらない、または上ってしまう場合に降圧剤を服用します。医師の指示にしたがって治療を続けてください。 - ● 非薬物療法
日常生活の中で血圧を上げる原因となる生活習慣を改める治療法です。- ・塩分摂取制限
塩分をとりすぎると血液中の水分が増加し血圧が上がります。摂取量を1日6g以下にします。 - ・肥満の防止
肥満は血圧を上昇させます。適正体重、BMIで25を超えないようにします。 - ・禁煙
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ血液を流れにくくします。 - ・アルコールを控える
多量のアルコールは血圧を高くします。 - ・ストレスの軽減
精神的な緊張は交感神経を刺激して血圧を上げます。
- ・塩分摂取制限